義胡府国風土記~旅と外出~

5年間放置していました

関東ややレアスポットを巡る旅

年末の旅の続きです

前回の日記では世界遺産暫定リストに登録された富岡製糸場について大いに語らせて頂きましたが今回はじわじわと南下して東京まで行きます。


◆◆群馬の朝は山に萌える◆◆

昨夜は前橋に泊まりました。



群馬は取り囲む山々の姿がとても魅力的で山フェチ(見るだけ)にはたまらない。


榛名山


赤城山


これは浅間山だ。



奥の方には越後にまたがる山々・・・谷川岳かなー

本来なら昨夜は水上という街まで行ってのんびりと谷川岳という山を眺めてみたかったのですが、目を付けていた谷川ビューの宿が満室になっていて断念しました。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

のんびり眺めようとしていた谷川岳は小説“クライマーズハイ”を読んで一度この目で見てみたいと思ったのですがまたリベンジします。

ちなみに谷川岳はロッククライミングのメッカで、遭難者数がエベレストの四倍という死者数ダントツ世界1位の何気にすごい山で“のんびり眺める”に相応しくないのですが山フェチとしてはかなり惹かれます・・・決して登りませんが。



そういえば昨日訪れた富岡の街から見る妙義山もかなり萌えました。この奇岩っぷりたまらないですね。


◆◆何となく秩父へ。彫刻が素晴らしい秩父神社◆◆

本来は水上から長野方面を回って一旦名古屋に帰る予定だったのですが急遽東京で友達に会う事になりました。時間には余裕があるのでちょっと寄り道がてら東京に向かいます。



高崎から八王子に抜けるJRに乗ると結構ローカルな感じで知らない町をいくつも通り過ぎて行く。


途中で乗り換えて埼玉県の秩父で下車。なんで秩父かと言うと特に理由は無く、時間があったのと地図を見ていて何となく思いついたから・・・



町中をぶらぶら歩いていると年の瀬で何かとバタバタしている神社がありました。神社の名前はそのまんま秩父神社



奥の方では正月の飾りつけで忙しそう。師走って感じ。



あまり大きな神社では無いなーと思いながら本殿を眺めていると、軒下の彫刻がなかなか素晴らしい事に気付く。

本殿の真裏の彫刻は「北辰の梟(フクロウ)」というそうで、よく見ると真ん中にふくろうがいます。このフクロウ、体はご本殿に向けて顔だけぐるりと反対方向(北側)に向けて昼夜を問わず御祭神を守っているんだそうです。


これは朱鷺(とき)では?つい数年前まで絶滅危機だった朱鷺ですが、昔は日本中にいたって聞いた事がある。こうやって彫刻になるくらいですからかつては身近な鳥だったんですね(鶴だったらごめんなさい)。

西側の軒下には三匹の猿がいます。これは日光東照宮で有名な“見猿・言わ猿・聞か猿”では?この社殿は徳川家康が寄進したそうなので施工主が一緒だからか?



と思って説明をよく見ると「よく見て・よく聞いて・よく話す」“お元気三猿”と名付けられてるそうです。



ゲリラ訪問でしたが地味に見応えがあった秩父神社でした。


◆◆魅惑の東京、定食とか名曲とか・・・◆◆


秩父から一気に東京、高円寺で東京在住の地元の友人と待ち合わせ。

友人はいつも観光客が行かないような東京の地味レアスポット(千駄木・根津・本郷・西荻窪等)を案内してくれる名ガイド。

おかげで「高円寺だなんて随分とメジャーなスポットに来たもんだ」

と思ってしまうほど東京に対する基準がブレまくり。



ちょっと猥雑な感じもするけど、年末の高円寺の商店街は活気に溢れていた。さすが東京。

高円寺の商店街の素晴らしいところは定食屋がいっぱいあってどこもお値段リーズナブルなところ。東京って物価が高いイメージだったけど必ずしもそうではない事を知りガゼン東京に住んでみたくなる(定食屋が安いという理由だけで人生のリセットボタンを押す寸前)。



と言うわけで適当に入った定食屋さん。初めて訪れる客でも店主御夫婦がとても愛想が良い。


もちろん味も良かったのですが、店を出る際に明るく“良いお年を”と声をかけてくれるさりげなさが味の余韻を引き立ててくれた。きっと多くの人に愛されてる定食屋さんなんだと思った。


福助というお店で、まさに“福”を頂いた気分。何気ない一言は大事ですね!末永くご盛業を願います。

名ガイドの友人と東京を訪れると“定食屋→商店街を冷やかしながら歩く→渋い喫茶店でまったり”がルーティーン、今回も友人のプランにはしっかりと“渋い喫茶店”が組み込まれており2軒ほどはしごをしてきましたが、どちらもただの喫茶店ではなく“名曲喫茶”というナイスなチョイスっぷり。

名曲喫茶とは飲み物を提供するだけでなくクラッシクを聞いてもらう為の喫茶店。有線とかで一日中クラッシク流せとけばイイと言う訳でもなく、流して欲しいクラシック音楽の曲目、及び演奏者のリクエストに応じてくれる特色があります。客もそれなりのクラシック経験値が必要なんですが、我々がクラシックに精通してる訳でもなく、しかも短時間で2軒ハシゴなんて、ただのサブカルチャー感覚の珍しいもの見たさなんですが、それも良しとしましょう・・・



て訳で1軒目は高円寺にある名曲喫茶ネルケン

皇室の人?みたいな上品なおばちゃんが一人でやってるお店。おばちゃんの上品っぷりだけでも見る価値ありな店。


名曲喫茶だけに薄暗い店内はクラッシックが流れ大人の雰囲気(マイブログ史上最低な写真の一つ・・・・名曲喫茶はコンパクトカメラ泣かせの闇っぷり)

文庫本片手にしつつ名曲喫茶でクラッシクをBGMにゆっくりとコーヒーを味わう・・・そんな深みのある大人になりたいものですが、旅先のドトールでスポーツ紙読んでボケッとする事で満足中枢が満たされる薄い人間の代表格ギコフが正しい名曲喫茶の楽しみ方をマスターするのはまだ遠い未来の様です・・・・



2軒目に行くので名曲喫茶の客にあるまじきそそくさっぷりで新宿へ、そして路線バス渋谷へ。



向かったのは名曲喫茶ライオン。1926年創業の老舗中の老舗。

残念ながら写真撮影禁止なので店内の写真が一切ありませんので皆さんの想像でお願いします・・・・


敷居の高そうな重厚な扉を空けると、教会のパイプオルガンと見紛う巨大壁面スピーカーからガンガンにクラッシクが流れている。まるでスピーカーがご本尊の神殿のよう・・・・



そのスピーカーが巨大なので店内は吹き抜けで2階まで客席があり、座席は全てスピーカーの方を向き、音楽を聞く事に特化したレイアウトになっている。

皆じっと曲に聞き入っている中、そろりそろりと歩いて席を探すのだが、いかんせん戦前の建物だけに床がギシギシと鳴り、靴の音もコツコツ鳴り響く・・・・・その都度クラシック偏差値の高そうなおじ様達の視線に気を使う。



席に着くと、音大生チックなバイト店員がメニューとその月の演奏プログラムを持って来てくれるのですがプログラムのフォントが素敵すぎる


裏面はその月の演奏予定なんかが掲載されてるのですが、2000年を遠に過ぎたというのに今だ息づく“帝都随一”という言葉が印象的。もうこれは言葉の天然記念物・・・きっと言霊が宿っているはず。


と、まぁこんな感じで、喫茶店に入店しただけなのに無駄にドギマギしながら席に着くという浮世離れな展開ですが、座ってしまえば目の前で演奏してるかの様な迫力でクラシックを聞く事が出来ます。

ピンと張り詰めた雰囲気の中コーヒーをすする。戦前から営業している黒光りする店内は、学ランに高ゲタを履いた大学生がふらりとやって来そうなそれは素晴らしい雰囲気。しかしバックに流れる名曲は誰の何て曲だか正直さっぱり分からない・・・・・

まぁでもそんな事知らなくてもいいじゃないですか・・・です。

喫茶店でクラシックを聞くという水準の高い東京文化に触れる事自体が、田舎者には刺激的で魅力的なんですよね。日曜の朝、テレビで題名の無い音楽界を見るくらいなら俄然喫茶ライオンです。

何か大人の東京ウォーカーって感じでした。


◆◆渋谷で考える巨匠からのメッセージ◆◆


渋谷まで足を運んだので見ておきたい物がありました。




岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」です。

JRと井の頭線を結ぶ連絡通路、そんな公共スペースに岡本太郎の最高傑作が設置されているなんて素敵すぎます。

自分は芸術にはまるで精通してはいないものの、岡本太郎は惹かれます。以前、大阪にある太陽の塔の内部に入る事が出来る激レアツアーに当選したものの都合で行けなくなった事があります。何だかこの壁画を見上げてたらその悔しさがこみ上げてきました。



この作品は原爆の炸裂の様子を描いた作品・・・・・けどあきらかに広島や長崎のそれとは違う。

愚の骨頂である戦争という行為、原爆という悲惨な過去を描いているのに力強い活力に満ちている。

http://www.1101.com/asunoshinwa/asunoshinwa.html
明日の神話公式HP”にあった岡本太郎夫人の壁画についての思いがまさにその事を言わんとしており非常に印象的でしたので、自分が説明するよりも、できればこちらをお読み頂きたいと思います。真ん中辺りに夫人の記事あります。



見ていて「???」って思った部分も岡本夫人の解説で分かって非常にすっきりしました。


燃え盛る骸骨の前で待ち合わせする若者、目もくれず通り過ぎる人々の流れ・・・何だか東京のクールな一面を垣間見たような気もしますが、この人々の流れも含めてが“明日の神話”という作品かもしれないなって思いました。

悲劇を乗り越え再生する人々へのメッセージである“明日の神話”を背景に、再生した人々が足早に駆け抜ける。これを無関心と見るか、平和ボケと見るか、これこそ平和と捉えるか・・・

ボケーっと壁画を見上げながらあれこれ考えましたが、岡本太郎からの壮大なメッセージに簡単に答えは出せませんね。


分かった事は、この壁画を立ち止まって見上げてる人達は間違いなく上京してきたお上りさんって事と、この壁画は広島や長崎に設置されて過去の悲劇としての原爆を伝えるよりも、無関心な人々が毎日何万と通り過ぎようと渋谷で未来へのメッセージを流し続ける役目こそがあるべき姿だと思いました。


以上渋谷からでした。


◆◆東京ロスタイム◆◆

翌日は少ししか時間が無かったのですが
殺人的混みっぷりの築地でどうにか海鮮丼にありつき


ちょっと散歩しつつ、久々に学生時代の友人をハシゴで再会、お茶なんかして束の間の東京を満喫



最後は茅ヶ崎まで送ってもらいつつに厚木にある寒川神社で今年最後のお参りで終了。結構大きくて立派でした。


そんなこんなの“関東ややレアスポットを巡る旅”心地よい疲れで帰りの電車に揺られて帰省しましたとさ。


おしまい。