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野薔薇の生垣の向こうまで熱烈な旅をしよう

一冊の本に含蓄のある素敵な言葉を頂いた


“野薔薇の生垣の向こうまで熱烈な旅をしよう”

書いて頂いたのは雑誌SWITCHを自ら創刊し編集長を務めた新井敏記さん。



先日、大阪は福島にあるphot gallery saiにて開催された“新井敏記写真展「SWITCH PHOTOGRAPHS」−完成されない人生の軌跡を追いかける、忘れられない人がいる−”にお邪魔した際、新井さん本人も在廊されていたので直々に書いて戴いた。


SWITCHを一言で説明すると“インタビュー雑誌”



新井さんがSWITCH創刊した思いが購入した本に書いてあったので抜粋すると・・・

“好きな人に会う。彼らの話に耳を傾ける。感動した時間を誰かと共有したいと願う。こんなに素敵な人に出会ったんだということを、伝えたくてならなかった。好きな人のことならば、僕にも書けるんじゃないかと思った”

新井さんは人との出会いや縁をとても大切にされる方だ。

自分自身が興味を抱いた人だけでなく、自分自身に興味を抱いた人も受け入れてくれる。

自分は友人(新井さんと面識がある)に誘われて軽い気持ちで付いて行っただけなのに、とても快く向かえて頂きそう思った。


ギャラリーには新井さんが取材を通じて撮影した他分野の著名人の写真が飾られていた

大江健三郎沢木耕太郎星野道夫笠智衆吉田美和深津絵里、桑田圭祐・・・等々

会いたい人に会いに行き、会いたかった人も撮影者に心を開いている。

そんな写真だった。

もし新井さんが当日在廊してなければ“自分でも撮れるかも”って思ったかもしれないけどそう思えなくて良かった。

撮影者の新井さんがいたから、安易に写真だけを見ずに済んだ事が幸せだった。

以前、渋谷駅に展示されている岡本太郎の壁画“明日への神話”をボーっと見ていた時に

この作品は壁画の前を無関心に通り過ぎる人々の流れも含めて一つの作品になっているのではないだろうかと思った事がある。

平べったい壁だけが作品ではなく、空間そのものが作品という事に気づいたその感覚と少し似ていた。

撮影者本人が初めて会う人に嬉しそうに作品の説明をしている。そんな素敵な空間も含めて一つの作品だと思った。



実は新井さんに昼飯をご馳走になりました。

人生で最高にあつかましい昼ごはんだったと思います。

もちろん自分一人で行ったら誘われる訳もなかったんですが、友人もいたし、同じタイミングで、新井さんが10年前に写真家のアラーキーと広島を旅した時に同行をしたという女性がやって来たのでその人を含めて4人で食事に行く事になったんです。



途中で新井さんは戻って行かれたので、残った3人でコーヒーを飲みながら話をしていました。話は盛り上がって結構な時間が過ぎてしまったので、ご馳走になったお礼を言いにギャラリーに戻ったら、新井さんは残った3人の会話が盛り上がったかどうか、どんな会話をしたかを気遣ってくれました。


自分以外の出会いをも大切に思う姿勢が、SWITCHというインタビュー雑誌が淘汰の激しい
出版界で生き残っている理由と無関係ではないんだろうと思った。




そしてその夜は更にあつかましくて、最終日の打ち上げまで参加する始末。

友人と、昼ごはんをご一緒した女性以外は誰も知らないアウェーな打ち上げだったけど

隣にいた人も同じような境遇だったので開き直って居座りました。

様々なジャンルの人がいてとても雑多な空間だったけど得るものが多すぎてお腹も心も満腹になった。


本物のアラーキーの写真(新井さんが撮った)が壁に貼られているのも贅沢であった

不思議な一夜だったけど自宅に帰ってから感じたのは旅をして帰った時と同じ心地よい余韻でした。



予期せぬ旅だったけど、野薔薇の生垣の向こうをほんのちょっとだけ覗いた気がします。