義胡府国風土記~旅と外出~

5年間放置していました

諏訪から長野へ 悶絶神社と絶景車窓

四つある諏訪大社の参拝を終えて長野に向かったんですが、道中の素敵な景色とか諏訪のおまけを紹介します。

 

■■参拝すると息も絶え絶え、信州のドS神社。

諏訪大社の上社本宮を参拝した後に前宮に向かったんですが、途中にもう一箇所、神社に寄っていました。普通に自転車で走っていたら通り過ぎていたと思いますが、前から歩いてきた旅人風の人が何やら携帯で見上げながら写真を撮っていたので気が付きました。

 

北斗神社

その神社。恐ろしいほど急こう配な石段が一直線に山の上まで延びていて狂気の沙汰。

逆光がひどく、しかし単焦点のワイドなレンズでは石段の壁っぷりがちっとも伝わらずもどかしいので検索して他のネット情報を参考にして頂きたい。ちなみにこの神社、北斗神社と言います。

北斗神社

写真で見るのと現地で見るのとでは大違い、ちょっと簡単に登れそうな石段ではないので、そのままスルーしようかと思いましたが、案内の看板にあった「振り返れば諏訪全体を見渡せる絶景です」の誘い文句に負け登ってみることにしました。

 

北斗神社

登ってみるとおっしゃる通り良い眺めでした!天気もいいし!

 

と文字にすると簡単ですが、実際は這う這うの体・・・ラスト10メートルくらいは四つん這いでゴールした有様でした。

体を少し前に傾けたら簡単に四つん這いになれるほど急こう配な訳で、実際壁です。

 

しかも石段のステップ幅と高さが最高に調度よくない

 

とにかく体力を消耗するように作られていて、登頂自体が荒行な感じでした。

 

北斗神社

消防のレスキュー隊員とか、自衛隊のレンジャー部隊とかそっち系の人が登るような所だと思いました。

 

北斗神社

そんな参拝難易度の高い北斗神社ですが、山頂にはささやかな祠があるのみで素朴な佇まい。祀られているのは天御中主命という神様で、どうやら北極星を司る神様のようで、北斗神社と名乗るのも納得です。

 

星を祀る神社というのは全国的に珍しいのかよく分かりませんが、夜になると北斗星がよく見えるように考えて建立されているのかもしれませんし、下から頂上を見上げた時に感じた途方もない角度と高度感も北斗星を見上げた時の感覚を意識しての事だと思うと何だか少しロマンチックな気がしてきました・・・

北斗神社

そして北斗神社は長寿の神様でもあるようです。昔の人にとって夜になると必ずそこにある星も尊いものであって、特に北斗星だけが季節に関係なく変わらず続けることを知っていて長寿の象徴として祀っているのだと思います。

 

でも実際には参拝する事で寿命が縮む思いをすることになるのですが、無事に参拝を終えられたら長生きできるような気がします。ハイリスクハイリターンな北斗神社ですが健脚自慢の方は是非参拝してみることをお勧めします。

 

■■諏訪が誇る御柱祭、川越しの地

 

御柱祭

前宮の参拝を終えて、JR茅野駅に向かう途中にお洒落な展望台のようなものがあったので「八ヶ岳を望める展望台か?」と思い登ってみました。

 

御柱祭

確かに八ヶ岳はよく見えるのですが、中央道が目の前を横切り電線もあったりしてそこまで良い眺めではない。

御柱祭

御柱祭

よく見ると下を流れる川の護岸が整備されていて、ここは有名な御柱祭で唯一御柱が川を越える“川越し”を行う地であった。案内の看板も設置されていました。

 

御柱祭は個人的にとても興味がある祭りで、今回も資料館のようなものがあれば見てみたかったのですが、事前の調査不足もあり資料館がそもそもあるのかも知らず、あっても時間が押していて行けなかったと思うので、通りすがりで実際に御柱祭の舞台を見ることが出来てラッキーでした。

 

御柱祭と言えば御柱が斜面を下る木落が有名ですね。その会場だけでも見てみたかったのですが、どこにあるかよく分からずでした。でもどうやら下社と上社でそれぞれ2か所あるようですね。

 

御柱祭

前宮のお茶所にあった写真ですがこれは下社の木落し、滑り落ちていく距離が長くスピードも出るので迫力満点。「これこれ!ニュースなどでよく見かける奴」って思った人も多いかと。

 

御柱祭一方こちらは上社の木落し。「そういえばこれもテレビで見たことある」って素人みたいな感想なのですが、何となくいっしょくたになっていた御柱祭は下社と上社で違う特徴がありそれぞれ独立して行われていたのですねー。知ってたような知らなかったような知識がはっきりしてすっきりしました。

 

上社の木落は下社に比べて下る距離や角度が緩やかみたいなのですが、御柱にメドテコと呼ばれる角がカスタムされて高さがあるので、距離は短くともその分危険、勇壮さは下社にひけをとりません。むしろ横転した際のリスクなどを考えると下社よりもこちらの方が度胸がいるような気もします。

 

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映像などで見ると、下社の木落しはシンプルで荒々しく勇壮な雰囲気。疾走感があります!上社の木落しは会場にラッパや太鼓の音が響き、華やかで勇壮な雰囲気。御柱の力強さ印象的!どちらも生で観ることが出来たらさぞ圧倒されはず。

 

下社と上社で「我々の方が凄いぞ!」ってライバル意識とかありそうですが、どっちも素敵です。

 

以前仕事でお世話になった諏訪の方から少しだけお話を聞いたことがあるのですが、とにかく御柱祭について話すときはイキイキとしていてうれしそうだったのが印象に残っています。個人的に日本の祭りに順位や甲乙を付けるのは野暮なことで、全ての祭りが日本一だと思うのですが、御柱祭は数えで7年に一度しか開催されない。それだけに諏訪の人々がこの祭りに懸ける思いや情熱は溜まりに溜まってすさまじいものがあるように感じます。死ぬまでに一回は見てみたいのですが、それまでにちょいちょい足を運んで諏訪の人と仲良くなれればいいなともくろんでおります。

 

■■日本三大車窓姨捨からの絶景。

松本で昼食でもと思っていましたが、諏訪で時間を要したので今回はスルー。そのまま長野行きの列車に乗り換え姨捨に向かう事にしました。

 

 姨捨(おばすて)は標高500Mの山腹に位置した景勝地。悲しい姨捨山伝説が伝わる地域ではありますが、現在では美しい棚田が広がり、長野市が広がる善光寺平が一望できるそれは素敵なところです。

 

姨捨駅

そんな絶景を存分に堪能したいのであればJR姨捨駅で降りるのが手っ取り早いです。

 

姨捨駅

ホームが絶好のビュースポット。ここは日本一長めの良い駅ではないかと思います。

ベンチも通常とは反対向きです。

 

因みに姨捨の車窓は日本三大車窓の一つに数えられ、日本の鉄道に於いて屈指の眺めの良い区間となっています。まるで空を飛んでいるかのように列車は走り抜け、居眠りしている奴は片っ端から起こしたくなります。

 

姨捨駅

ホームから、これから向かう長野市を一望。中央に流れるのは千曲川で、この一帯を善光寺平と言いますが、平野部を〇〇平という名付けて呼ぶのは長野特有でしょうか。他にも佐久平、塩田平、木島平など・・・

 

ちなみに姨捨(おばすて)という地名はこの地に伝わる下記の伝説が由来。

 

昔、信濃の国に年寄りの大嫌いな殿様がいた。彼は、70歳になった老人は山へ捨ててくるよう国中におふれを出した。ある月明かりの夜、一人の若者が年老いた母を背負って山に登って行った。彼の母親は70歳になったので山に捨てなければならなかった。

 

現代では考えられない悲しい言い伝えですが、最終的に“隣国からの攻撃を、山に捨てた高齢者の知恵で未然に防いで、殿様は考えを改めた・・・”というややハッピーエンドな一面もあるので、ただ単にお年寄りを大切にしましょうねという教訓譚かもしれない。ただし地域に言い伝えられている伝説は、何かしらの事実に基づいているケースがほとんどなので、高齢者を捨てるまではいかないまでも、悲しい歴史がベースにあるのかもしれないです。

 

姨捨駅

絶景のJR姨捨駅はスイッチバックの停車駅という特徴があります。これは乗って来た長野行きの電車。写真奥から到着してホームに止まっています。

 

姨捨駅

長野行きの電車が出発しましたが、やって来た方向にバックして戻って行きました(ホームにある突き出た展望台から撮ってます)。

 

姨捨駅

しばらくすると、もう一度方向転換をして長野に向けてホーム下にある線路を下って行きました。

 姨捨駅に停車する普通列車はこうやってジグザグ上に走って勾配を登って山を越えて行きますが、通過する特急や貨物列車はジグザグしないで一直線に山を越えて行きます。よく見ると二つ前の写真の左には姨捨駅には入線せず下の線路を真っすぐ進む特急が写っています。

しかし数百メートル進むだけでこれだけの高低差。車だと問題無い角度ですが、鉄道にとってはかなりの急勾配です。

 

姨捨駅

このような複雑な運転形態になったのは蒸気機関車の時代の名残で、非力な蒸気機関車では勾配の途中に駅を設置してしまうと出発できなくなるから。現在の鉄道車両では恐らく問題無く登坂できるはずですが、姨捨のもう一つの名物として広く知られています。

 

自転車を広げて、駅から少し走ってみました。

姨捨駅

姨捨駅

姨捨駅

美しい棚田が広がる素晴らしい眺め。

昔ながらの農村の風景と眼下に広がる近代的な街並みの対比が素晴らしい。

 

悲しい言い伝えがある姨捨ですが、今ではとにかく景色の良いところです。

夜になると夜景もさることながら、観月の地、月の名所でも名高い地でもあります。

 

本来であれば、せっかく自転車持参の輪行旅でもあるので、姨捨から自転車で下っていく予定でしたが、諏訪で時間を要しすぎたので、1時間ほどウロウロして大人しく次の電車で長野に向かいました。

 

長野市編に続く。