義胡府国風土記~旅と外出~

5年間放置していました

絶景のツアーオブジャパン南信州ステージ


4年ぶりに自転車レースのツアーオブジャパン南信州ステージ(以下TOJ)を観戦して来ました。

TOJは大阪堺、奈良、美濃、南信州、富士山、伊豆、東京の各ステージを戦い総合優勝を決める自転車の国際レースです。ツールドフランス並とは言えないまでも素人目には充分本格的です。



南信州ステージが行われる長野県飯田市は、伊那谷という中央アルプス南アルプスに挟まれた谷間に広がる美しい街。



よって南信州ステージのコースは必然的に日本でも屈指の山岳コースにして屈指の絶景コースとなります(他のステージは知らないけど)。

レースの方は8時45分に飯田の駅をスタートして天竜川左岸の山中に設定されたアップダウンの激しいコースを確か12周だか14周する感じで、一周の距離は確か10数キロで、合計で140数キロだったはずです・・・

全てにおいてウロ覚えですが、なんせ前日に開催を知って、何の情報も無いままに飯田に駆けつけたような有様なので詳細が全く分からないのです。




レースがスタートし飯田の市街地から先頭集団がやって来ました。


今回観戦したポイントはコース中でもかなり標高の高い箇所だったので、飯田の街を見下ろしながら猛スピードで走る選手を眺めていましたが、下りのスピードは物凄いです。集団で走りながら下りのカーブでタイヤを鳴らしながら曲がっていく選手がいましたが、二輪でそんな事が出来るなんて理解不能です。




そして選手以上にド迫力なのがサポートカーのアグレッシブすぎる走り。タイヤ鳴らしまくりで選手の後を追います。タイヤを乗っけてるって事は選手がパンクなんかしたら治してくれるんだと思いますが、コースも狭いしカーブだらけ、道端で修理なんかしてたら後から来るサポートカーが突っ込んでくるじゃないかと思うとどうやってサポートするか気になります。




ヨーロッパなど自転車レースの盛んな国ではコース脇に熱烈なファンが大勢押しかけているのを良く見ますが、まだまだ自転車レースがマイナーな日本ではコース脇の光景もゆるくて逆に素敵です。



自転車レースに縁も所縁も無い人がこの日ばかりは畑仕事を休んでやって来るといった風でとてもいい光景だなと思いました。


とにかく天気がいい一日で、空は青いし緑は眩しいし走り抜ける自転車の大群は色とりどりだし何かとカラフルなTOJです。






時間が経つにつれレースの展開も変わって来ます。


集団から抜け出す人、大きく遅れだす人・・・

自転車レースは団体戦なので、戦略が多岐に渡り、1〜2度観に行っただけではレースの展開まで楽しむ事は中々難しいです。

例えるならば・・・オリンピックのマラソン団体戦で、野口みずきが終盤までハイペースで飛ばしてライバルをバテさせて、その隙を土佐礼子を風除けにして走っていた高橋尚子が一位でゴール・・・どうもそんな事をやっているようです。

でも高橋尚子が一位でゴールしたから日本が金メダルかというとそうではなく
自転車レースには、ある区間で早かった人にポイントが加算されるというシステムがあり
一位でゴールしたのが高橋尚子でも、他のチームが効果的にポイントを加算したら金メダルは他の国が獲得するという事もあり得るのです。



この南信州ステージでは山岳区間に“山岳賞”という区間賞が設定されていました。
おそらくこの区間を上位で通過した人には高いポイントが加算されていくのだと思いますが、山岳ポイントだけを狙ってる人もいるだろうから、そこをどう戦うかチームの力が問われるところです。

と、知ったかぶってますが、ゴール後合流した名古屋でお世話になってる知人に教えてもらいました。

自転車レースを楽しむのに一番いいのは“よく知ってる人と行く”というのが単純だけど確実だと思いました。




今回も残りがあと何週か分からなかったり、今通過したのはトップ集団なのか2位集団なのかよく分かってなかったり、レースの雰囲気は存分に堪能出来たけれど、レースの展開を楽しむという点ではまだまだなので、次に機会があればどちらも楽しめるようになっていれればいいなと思いますが、真剣に見れば見るほど混乱が深まりそうです。

そんな自転車レース偏差値が低い有様なのでレースが終わっても“誰が優勝したの?”って状況だし、もちろん山岳賞を誰が獲ったのかも知らない訳ですが、個人的に山岳賞を与えたい人はこの人です。



レース前にスーツ姿で日本屈指の山岳コースをママチャリで走ってきたおじさん。

多少高齢ですが日本の自転車レース界に期待の新星が現れたかもしれません。

終り


※詳細は映像を見れば手っ取り早いです

空前のスカイツリーブームに乗っかってみた。

東京に行っていたのですが、スカイツリー目当てで東京に行った訳ではないのに、どこに行っても視界に入ってくるので結局スカイツリー見学ツアーのようになってしまったという話です。

今回の滞在では浅草に泊まっていたのですが、スカイツリーはすぐ対岸に位置しているので浅草の定番の撮影スポットでは平日だというのに“スカイツリー見たい見たい病”の人で溢れかえっていて若干ひきます。




スカイツリーが建設されているのは、その浅草から電車で一駅行った業平橋・押上という地区。



駅周辺、とくにスカイツリーの反対側の生活染みた街の感じからは、ここがいま日本で最もホットなスポットであるという雰囲気は微塵も感じられないのですが、



まさしくここがスカイツリーのお膝元、今、日本で最もイナバウワー率が高い街でもあります。



真上を見上げたらこんな感じです。



噂には聞いていたもののスカイツリーの立地は下町すぎます。




世間に出回ってるスカイツリー直下の写真ってだいたいこんな風で、殆どの見物人もこんなアングルで撮ってますが、路地を一本入れば、生活染みた下町の風景の向うに、生活に全く必要の無いスカイツリーが聳えていて異様です。



金物屋越しのスカイツリー



小料理屋越しのスカイツリー



洗濯物越しのスカイツリー

まったくマッチしてないけど、こういう組合せがこそが正調スカイツリーなような気がして我が琴線に触れるのですが他の見物人は誰も見向きもしていなかったです。

もしスカイツリー中央区とか港区にあれば、それ相応な感じがしますが、墨田区にあるというのが実にオツな雰囲気を醸し出していて絶妙です。展望台に昇るだけで数千円もするツリーから常に見下ろされているという格差感は墨田区だからこそ。もしこれが中国だったら開発の名の下に町ごと消されていたかもしれないと思うと日本は平和だと思いました。




◆◆スカイツリーをラグジュアリーに眺めてみよう
スカイツリー直下の下町を離れ、大学時代の友人らとランチをしに日本橋に向いました。
場所は三越前にあるマンダリンオリエンタルホテルの38階にあるレストラン。
前日に場所を知らせるメールが来た際に、マンダリンオリエンタルホテルというラグジュアリーな響きに読んだだけで足が震え動揺しました。

つまみ出されやしないかとドギマギしながら当日はホテルに向かったのですが
エレベーターに乗るにもお迎えの人がいて逆に緊張します。
レストランフロアーのロビーには外国人ビジネスマン、上品なご夫人、金髪の美女、芸者らが待ち合わせをしていてこれまたラグジュアリーすぎて浮世離れな感じ。
芸者を見た子供は怯えて泣いてるしラグジュアリーすぎるのもどうかと思いつつ店内へ。




テーブルからの眺めは当然ながら絶景。
かすかに見える皇居の向こうに新宿の副都心が見えています。


しかし紹介したいのはこのテーブルからの眺めではありません。




こちらの眺めです。



まるで空撮したかのような絶景ですがこれはどこからの眺めなのかと言うと



マンダリンオリエンタルホテル38階のトイレからです。

下から見上げるばかりだったスカイツリーを遠巻きながら見下ろす事が出来る日本でも屈指の放尿スポット。




そしてここでは大東京に向かって思いっきり放水出来るので多少のストレスは発散出来そうです。
何か思いつめている人。世間に不満がある人は、ここで尿意を解き放てば幾分すっきりするのではないかと思います。



肝心の食事ですが、もちろん美味しかったですよ。
脳内がラグジュアリーに麻痺してるから、本当はイオンのお惣菜だったとしても分かりません。結婚式でもないのに説明付きのメニューの食事をするのも初めてでした。


そんなマンダリンオリエンタルホテルでの夢のようなランチタイムでしたが午後からは別の友人との約束があったのでラグジュアリーな38階から一気に俗世界に逆戻り。

シンデレラのような心境で日本橋を後にしました。

そして、今後の人生でラグジュアリーと言う単語を使う事は無いような気がします。




◆◆再び下町へ。墨田区葛飾区界隈から見るスカイツリー
合流した友人はほぼ同じアンテナを持つ地元の幼馴染。
東京に来るといつもレアなスポットを案内してくれます。



下町の渋い喫茶店でお茶でもしてぶらぶらしようじゃないかという話になり、ついて行ったらさっき訪れた墨田区押上界隈に逆戻り。アンテナの感度が同じなので、行かんとする場所も一緒です。



途中、運河にスカイツリーが写る定番撮影スポットに立ち寄ってみましたが、盛大に工事中で閑散としていました。クレーンがスカイツリー並に主張していて皮肉な感じでしたが、こっちの方が逆においしい感じがすると喜んでシャッターを押しました。




友人がお薦めしていた喫茶店は残念ながら休みだったので、その変にある普通の喫茶店で時間を潰した後金八先生がうろうろしてそうな暮れなずむ下町の路地裏を探検してみることに。

昼はマンダリンオリエンタルホテルでアッパークラスの人々に紛れて優雅にランチ
その数時間後にはダウナーな空気が漂う下町の路地裏に紛れ込むという、何とも浮き沈みの激しい東京散歩です。




◆◆墨田区京町からスカイツリーを見よう

墨田区の京島地区は狭い路地が入り組み、今尚古くからの町並が残る典型的な下町です。
この地区は東京大空襲での被害が少なく戦後多くの人が移り住んだ為に、一時は都内で最も人口密度の高い地区であったそうです。


路地裏には相変わらず突っ込みどころが多くて歩いていて飽きません。


雨漏り大丈夫ですら・・・・
那覇や大阪、路地裏のメッカと言われる街(個人的に思ってるだけ)を歩くと必ずこういった“伝えたい気持ちは分かるけど伝え方が雑すぎる”ドイヒーな手書き告知を目にします。


那覇・大阪の例。

伝わる人には伝わるのかもしれないのでこれでいいのかもしれません。




電力不足の昨今、肩身が狭そうな電気湯。等々・・・・




ただ、ここ数年で消えてしまった街並みも多いようで、鄙びた町並みの向こうに見えるスカイツリーとの対比に栄枯盛衰を感じずにはいられませんでした。




◆◆葛飾区からスカイツリーを見よう

京島から川を越えて葛飾区までやって来ました。


少し離れたところからスカイツリーを眺めてみたいと思い荒川の河川敷にまで来たのですが橋の向こうにいい感じでスカイツリーが見えています。



綺麗に見えるか心配だったけど、遮るものの無い広い空間からでも良く見えます。さすが日本一の高さ。



直下では生活感が感じられなかったけれど、行き交う人々を収めるとやはりスカイツリーは東京に馴染んでいるのだと思えてきます(入場料がもっと安ければより馴染むと思います)。



金八先生の世界のような東京の河川敷・・・・
ジョギングしてるパツキンの美女や柔道一直線みたいな一団が来てくれたら良かったのですがそうは上手く行きませんでした。



小一時間、河川敷で刻一刻と表情を変える東京の街並の中に聳えるスカイツリーを眺めていました。



開業するとライトアップされるので、50日後には今回と違った表情のスカイツリーが見られると思います。


◆◆番外:浅草から見るスカイツリーとその他気になった点
今回宿泊した宿は浅草だったのですが、普段は施錠している屋上を「写真を撮りたい」と言えば開放してくれる素敵なサービスがありました。



手前の駒形橋が明るすぎて、まだライトアップされてないスカイツリーといい塩梅で写す事は難しかったのですが開業後はまた違った雰囲気の写真を収める事が出来そうで、また宿泊してみたいと思いました。


http://asakusahotel.org/
今回の宿“旅籠屋”は極狭物件を匠の技でリフォームしたようなホテルでした。部屋は確かに狭く大荷物だと不自由に思いますが、内装もぴかぴかでインテリアもお洒落でベッドもふかふか部屋は畳敷き。浅草も徒歩圏内で目の前には有名な駒形のどじょう屋もあって観光に最適。スタッフの方も親切で気が利くし、広さを求めなければとてもイイホテルだと思いました。





浅草に行くといつも気になるのが、東武浅草駅前にある防空壕みたいな地下鉄の入り口。


浅草は日本で最初に地下鉄が開業した区間なのですが、開業当時のままではないのか?と思えるほどみすぼらしい入り口で琴線に触れます。



下に降りると、天井は配管がむき出しでくたびれた感が充満。



工事中なのかと思ったけど「常にこうだ」と友人は言っていました。



東武浅草駅は来るスカイツリー開業に向けて、開業当時のレトロな外観を復元しようと工事中でしたがこの地下鉄入り口は復元しなくてもリアルにレトロなので出来ればこのまま残してもらいたいもんです。

観光客が降りるのを躊躇し訝しげに中を覗き込むのを観察するのが密かに楽しかったりします。




そんなこんなで、束の間の東京滞在でしたが、スカイツリー以外にも久々に再開した友達と楽しい時間を過ごす事が出来たり思いがけず食事の上手い店を発見出来たりと充実の二泊三日でした。

震災後の事を思うとスカイツリーブームで東京が賑わうのはとてもいい事だと思います。
めっきり減っていた外国人観光客も次第に戻っているようだし、スカイツリーブームから日本の元気を世界に発信出来れば素晴らしですね。

開業後が楽しみです。

ビートルズの効能。

永遠のビートルズ少年OutsiderBeatlesBand(以下OBB)さんのライブに行って来ました。

今年の3月に刈谷で行われたチャリティーライブにお邪魔させて頂いて以来二度目だったんですが

http://d.hatena.ne.jp/takagikofu/20110321/p1
↑前回のレポート
今回も素敵な演奏で存分に楽しませてもらいました。

バンド名からも伺えるようにOBBさんはビートルズのナンバーを中心に演奏活動をされていてその活動は愛知県内に留まらず実に精力的。

その演奏っぷりも、もはや“ビートルズのカバー”等というレベルではなく“ビートルズが憑依している”と例えるのが相応しいのではないかという程ビートルズされています(?)。

前回伺った際は他のバンドも出演されていたので、今回に比べると演奏曲数も少なかったんですが、今回はがっつりと2時間弱、その憑依された演奏をおなかいっぱいになるほど聞かせて頂きました。

ビートルズの曲は“とにかく飽きない”ということは言わずもがな。
どの曲を聴いても漏れなくノスタルジックな気持ちにさせてくれるから不思議です。

彼らの曲は世界中の誰もが知っている有名な曲ばかりですが「これもビートルズの曲だったんだ」という曲もある。何曲か初めて聴いた曲もあったけど、その全てがどこかで聴いた事があるかのように思え懐かしい気持ちにさせてくれます。

思うにビートルズの音楽というのは水や空気のように、生きていくうえで必須なものであるかのように体内に吸収されていく感じがして、人間の体内には“必須ビートルズ酸”とか“善玉ビートルズ菌”みたいなのが存在しているのではないかと思えてきます。きっとビートルズを聴くとそれらの活動が活発になり、人々をノスタルジックな気持ちにさせるんだと思いました。

きっとそれらには麻薬性もあり、過剰に摂取し続けるとOBBさんのように一生ビートルズを謳歌する事になるのだと思います。

年を重ね社会的な地位を得てもギターを手にベースを手に少年のように歌い続ける・・・・

そこまで行くともはや手の施しようがないのですが善玉なので人生キラキラでつやつやです。


そんな訳で(?)人生に何か一つでも過剰に摂取できるものがあるというのは本当に素敵な事だなーと今回も多いに刺激を受けたOBBさんのライブでした。



また行くぞー


※前回同様遠慮して隅っこに座ってしまったのでろくな写真が撮れずにすいません。