義胡府国風土記~旅と外出~

5年間放置していました

空前のスカイツリーブームに乗っかってみた。

東京に行っていたのですが、スカイツリー目当てで東京に行った訳ではないのに、どこに行っても視界に入ってくるので結局スカイツリー見学ツアーのようになってしまったという話です。

今回の滞在では浅草に泊まっていたのですが、スカイツリーはすぐ対岸に位置しているので浅草の定番の撮影スポットでは平日だというのに“スカイツリー見たい見たい病”の人で溢れかえっていて若干ひきます。




スカイツリーが建設されているのは、その浅草から電車で一駅行った業平橋・押上という地区。



駅周辺、とくにスカイツリーの反対側の生活染みた街の感じからは、ここがいま日本で最もホットなスポットであるという雰囲気は微塵も感じられないのですが、



まさしくここがスカイツリーのお膝元、今、日本で最もイナバウワー率が高い街でもあります。



真上を見上げたらこんな感じです。



噂には聞いていたもののスカイツリーの立地は下町すぎます。




世間に出回ってるスカイツリー直下の写真ってだいたいこんな風で、殆どの見物人もこんなアングルで撮ってますが、路地を一本入れば、生活染みた下町の風景の向うに、生活に全く必要の無いスカイツリーが聳えていて異様です。



金物屋越しのスカイツリー



小料理屋越しのスカイツリー



洗濯物越しのスカイツリー

まったくマッチしてないけど、こういう組合せがこそが正調スカイツリーなような気がして我が琴線に触れるのですが他の見物人は誰も見向きもしていなかったです。

もしスカイツリー中央区とか港区にあれば、それ相応な感じがしますが、墨田区にあるというのが実にオツな雰囲気を醸し出していて絶妙です。展望台に昇るだけで数千円もするツリーから常に見下ろされているという格差感は墨田区だからこそ。もしこれが中国だったら開発の名の下に町ごと消されていたかもしれないと思うと日本は平和だと思いました。




◆◆スカイツリーをラグジュアリーに眺めてみよう
スカイツリー直下の下町を離れ、大学時代の友人らとランチをしに日本橋に向いました。
場所は三越前にあるマンダリンオリエンタルホテルの38階にあるレストラン。
前日に場所を知らせるメールが来た際に、マンダリンオリエンタルホテルというラグジュアリーな響きに読んだだけで足が震え動揺しました。

つまみ出されやしないかとドギマギしながら当日はホテルに向かったのですが
エレベーターに乗るにもお迎えの人がいて逆に緊張します。
レストランフロアーのロビーには外国人ビジネスマン、上品なご夫人、金髪の美女、芸者らが待ち合わせをしていてこれまたラグジュアリーすぎて浮世離れな感じ。
芸者を見た子供は怯えて泣いてるしラグジュアリーすぎるのもどうかと思いつつ店内へ。




テーブルからの眺めは当然ながら絶景。
かすかに見える皇居の向こうに新宿の副都心が見えています。


しかし紹介したいのはこのテーブルからの眺めではありません。




こちらの眺めです。



まるで空撮したかのような絶景ですがこれはどこからの眺めなのかと言うと



マンダリンオリエンタルホテル38階のトイレからです。

下から見上げるばかりだったスカイツリーを遠巻きながら見下ろす事が出来る日本でも屈指の放尿スポット。




そしてここでは大東京に向かって思いっきり放水出来るので多少のストレスは発散出来そうです。
何か思いつめている人。世間に不満がある人は、ここで尿意を解き放てば幾分すっきりするのではないかと思います。



肝心の食事ですが、もちろん美味しかったですよ。
脳内がラグジュアリーに麻痺してるから、本当はイオンのお惣菜だったとしても分かりません。結婚式でもないのに説明付きのメニューの食事をするのも初めてでした。


そんなマンダリンオリエンタルホテルでの夢のようなランチタイムでしたが午後からは別の友人との約束があったのでラグジュアリーな38階から一気に俗世界に逆戻り。

シンデレラのような心境で日本橋を後にしました。

そして、今後の人生でラグジュアリーと言う単語を使う事は無いような気がします。




◆◆再び下町へ。墨田区葛飾区界隈から見るスカイツリー
合流した友人はほぼ同じアンテナを持つ地元の幼馴染。
東京に来るといつもレアなスポットを案内してくれます。



下町の渋い喫茶店でお茶でもしてぶらぶらしようじゃないかという話になり、ついて行ったらさっき訪れた墨田区押上界隈に逆戻り。アンテナの感度が同じなので、行かんとする場所も一緒です。



途中、運河にスカイツリーが写る定番撮影スポットに立ち寄ってみましたが、盛大に工事中で閑散としていました。クレーンがスカイツリー並に主張していて皮肉な感じでしたが、こっちの方が逆においしい感じがすると喜んでシャッターを押しました。




友人がお薦めしていた喫茶店は残念ながら休みだったので、その変にある普通の喫茶店で時間を潰した後金八先生がうろうろしてそうな暮れなずむ下町の路地裏を探検してみることに。

昼はマンダリンオリエンタルホテルでアッパークラスの人々に紛れて優雅にランチ
その数時間後にはダウナーな空気が漂う下町の路地裏に紛れ込むという、何とも浮き沈みの激しい東京散歩です。




◆◆墨田区京町からスカイツリーを見よう

墨田区の京島地区は狭い路地が入り組み、今尚古くからの町並が残る典型的な下町です。
この地区は東京大空襲での被害が少なく戦後多くの人が移り住んだ為に、一時は都内で最も人口密度の高い地区であったそうです。


路地裏には相変わらず突っ込みどころが多くて歩いていて飽きません。


雨漏り大丈夫ですら・・・・
那覇や大阪、路地裏のメッカと言われる街(個人的に思ってるだけ)を歩くと必ずこういった“伝えたい気持ちは分かるけど伝え方が雑すぎる”ドイヒーな手書き告知を目にします。


那覇・大阪の例。

伝わる人には伝わるのかもしれないのでこれでいいのかもしれません。




電力不足の昨今、肩身が狭そうな電気湯。等々・・・・




ただ、ここ数年で消えてしまった街並みも多いようで、鄙びた町並みの向こうに見えるスカイツリーとの対比に栄枯盛衰を感じずにはいられませんでした。




◆◆葛飾区からスカイツリーを見よう

京島から川を越えて葛飾区までやって来ました。


少し離れたところからスカイツリーを眺めてみたいと思い荒川の河川敷にまで来たのですが橋の向こうにいい感じでスカイツリーが見えています。



綺麗に見えるか心配だったけど、遮るものの無い広い空間からでも良く見えます。さすが日本一の高さ。



直下では生活感が感じられなかったけれど、行き交う人々を収めるとやはりスカイツリーは東京に馴染んでいるのだと思えてきます(入場料がもっと安ければより馴染むと思います)。



金八先生の世界のような東京の河川敷・・・・
ジョギングしてるパツキンの美女や柔道一直線みたいな一団が来てくれたら良かったのですがそうは上手く行きませんでした。



小一時間、河川敷で刻一刻と表情を変える東京の街並の中に聳えるスカイツリーを眺めていました。



開業するとライトアップされるので、50日後には今回と違った表情のスカイツリーが見られると思います。


◆◆番外:浅草から見るスカイツリーとその他気になった点
今回宿泊した宿は浅草だったのですが、普段は施錠している屋上を「写真を撮りたい」と言えば開放してくれる素敵なサービスがありました。



手前の駒形橋が明るすぎて、まだライトアップされてないスカイツリーといい塩梅で写す事は難しかったのですが開業後はまた違った雰囲気の写真を収める事が出来そうで、また宿泊してみたいと思いました。


http://asakusahotel.org/
今回の宿“旅籠屋”は極狭物件を匠の技でリフォームしたようなホテルでした。部屋は確かに狭く大荷物だと不自由に思いますが、内装もぴかぴかでインテリアもお洒落でベッドもふかふか部屋は畳敷き。浅草も徒歩圏内で目の前には有名な駒形のどじょう屋もあって観光に最適。スタッフの方も親切で気が利くし、広さを求めなければとてもイイホテルだと思いました。





浅草に行くといつも気になるのが、東武浅草駅前にある防空壕みたいな地下鉄の入り口。


浅草は日本で最初に地下鉄が開業した区間なのですが、開業当時のままではないのか?と思えるほどみすぼらしい入り口で琴線に触れます。



下に降りると、天井は配管がむき出しでくたびれた感が充満。



工事中なのかと思ったけど「常にこうだ」と友人は言っていました。



東武浅草駅は来るスカイツリー開業に向けて、開業当時のレトロな外観を復元しようと工事中でしたがこの地下鉄入り口は復元しなくてもリアルにレトロなので出来ればこのまま残してもらいたいもんです。

観光客が降りるのを躊躇し訝しげに中を覗き込むのを観察するのが密かに楽しかったりします。




そんなこんなで、束の間の東京滞在でしたが、スカイツリー以外にも久々に再開した友達と楽しい時間を過ごす事が出来たり思いがけず食事の上手い店を発見出来たりと充実の二泊三日でした。

震災後の事を思うとスカイツリーブームで東京が賑わうのはとてもいい事だと思います。
めっきり減っていた外国人観光客も次第に戻っているようだし、スカイツリーブームから日本の元気を世界に発信出来れば素晴らしですね。

開業後が楽しみです。